当院にて慢性疼痛の治療お受けになる方へ

麻酔科・痛みセンターでは、原因が不明であったり、身体的器質的な要因だけでは十分に説明ができず治療が難渋したりしている慢性疼痛の患者さんの診断と治療を行っております。そのような慢性疼痛の場合、一般的に心理社会的な要因が関与するとされ認知行動療法が推奨されていますが、治療効果に直結する認知や行動の評価の方法は明確になっていないのが現状です。さらにそのような患者さんに対する薬物療法の効果の予測指標や脳内機序は明らかにされておりません。そのため治療効果の向上に寄与する脳機能や認知・行動の評価方法と、薬物療法の効果・副作用を予測できる評価指標を確立し、より早く患者さんの苦痛を和らげられる医療の提供を目的としています。

【研究課題】
「慢性疼痛診療の患者評価、診断および治療法の研究(包括的後ろ向き研究)」【認知・行動・脳機能】

【研究機関名及び本学の研究責任者氏名】
この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
研究機関 東京大学大学院医学系研究科・外科学専攻・麻酔学講座
研究責任者 笠原諭・麻酔学講座・特任臨床医
担当業務 データ収集・匿名化・データ解析

【研究期間】
2012年4月1日〜2024年10月31日

【対象となる方】
2012年4月1日~2024年10月31日の間に当院の痛みセンター外来で笠原諭医師の診療を受けた患者さん。

【研究の意義】
慢性疼痛の治療効果の向上に寄与する脳機能や認知・行動の評価方法と、薬物療法等の効果・副作用を予測できる評価指標を確立し、より早く患者さんの苦痛を和らげられる治療法の開発につなげることができます。

【研究の目的】
慢性疼痛には脳機能や認知・行動の評価方法が必要ですが、現時点では国際的にも確立された評価方法はありません。そこで多数存在している評価項目の中から治療効果に直結し、かつ短期間で症状を改善できる評価方法を作成します。

【研究の方法】
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学大学院医学系研究科・医学部長の許可を受けて実施するものです。これまでの診療でカルテに記録されている有病期間などの臨床経過、診療録に保存された活動記録(歩数・安静時間など)、投薬内容、投薬への副作用、疾患名、検査結果(各種注意欠如多動性障害評価尺度・自閉症スペクトラム指数・知能検査・パーソナリティ検査)、画像検査(脳血流SPECT・頭部MRI)、各種心理・臨床評価指標など、診療中に得られたデータを収集して行う研究です。過去の診療記録を元に行いますので、該当する患者さんの現在・未来の診療内容には全く影響を与えませんし、新たにご負担いただくこともありません。

【個人情報の保護】
この研究に関わって収集される試料や情報・データ等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
収集されたデータは、解析する前に氏名・住所・生年月日等の個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものか分からないようにした上で、当研究室において笠原諭が、施錠された部屋の中で鍵のかかるロッカー、および個人情報管理担当者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコンで厳重に保管します。ただし、必要な場合には、当研究室においてこの符号を元の氏名等に戻す操作を行い、結果をあなたにお知らせすることもできます。

この研究のためにご自分のデータを使用してほしくない場合は主治医にお伝えいただくか、下記の研究事務局までご連絡ください。2024年11月21日までにご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせて頂きます。ただし、同意を撤回された時に、すでに研究結果が論文等に公表されていた場合等は、廃棄することができませんのでご了承ください。

研究結果は、個人が特定出来ない形式で学会等に発表されます。収集したデータは厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。ご不明な点がありましたら主治医または研究事務局へお尋ねください。

この研究に関する費用の一部は日本学術振興会科学研究費(代表 笠原諭)から支出されています。本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。

2024年11月

【問い合わせ先】
連絡先:東京大学医学部附属病院麻酔科・痛みセンター 特任臨床医 笠原諭
東京大学医学部附属病院緩和ケア診療部 准教授 住谷昌彦
住所:東京都文京区本郷7-3-1
電話:03-5800-8668 FAX:03-5800-8938
Eメールでのお問い合わせ:kasaharas-ane@h.u-tokyo.ac.jp