2000年4月1日 ~ 2028年9月30日の間に当院にて、外科手術の麻酔を実施した全ての患者様へ

麻酔科・痛みセンター診療記録を利用した周術期管理を理想的にする最適な生理学的パラメータの検討

 当院では外科手術中の患者様を安全にかつ適切に麻酔管理することで、術後回復を最適化できる診療を行なっております。手術の内容や患者さんの全身状態など様々な要因が異なるなかで、それぞれの患者さんが出来るだけ早期に、良い状態で退院されるような理想的管理方法を見出すには継続的に実際の麻酔管理の調査検討が必要です。

【研究課題】

麻酔科・痛みセンター診療記録を利用した周術期管理を理想的にする最適な生理学的パラメータの検討

【研究機関名及び本学の研究責任者氏名】

この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。

  • 研究機関 東京大学附属病院・麻酔・痛みセンター
  • 研究責任者 内田寛治・麻酔学講座・教授
  • 担当業務 データ収集・匿名化・データ解析

【研究期間】

2023年10月2日〜2028年9月30日

本研究は長期にわたる研究を計画しています。記載の研究期間終了後も継続する場合は研究期間延長の申請を行う予定です。

【対象となる方】

 2000年4月1日 ~ 2028年9月30日の間に当院にて、外科手術の麻酔を実施した全ての患者様。個別の研究テーマに基づき詳細に開示します。

【研究の意義】

 現在当院麻酔科で管理している手術数は年間10000例以上となり、その手術内容も多岐にわたります。それぞれの手術麻酔を安全に行うため、術前評価および過去の論文や症例報告から麻酔法、術中管理方針を決定していますが、多くの論文は欧米の報告に基づいています。そのため日本人を対象とした、あるいは当施設における最善のリスク評価法および術中管理法については再検討する必要があります。

【研究の目的】

 この研究では、過去の診療禄を用いて、実施した術前評価、術前検査データや術中モニタの値を分析し、術中管理方法、麻酔法が患者の術中状態および術後予後に与える因子の発見、最適な評価基準を新たに見つけ出すことを目的としています。

【研究の方法】

 この研究では後ろ向きの研究として研究を計画した時点より前に麻酔科で管理する手術麻酔の診療情報を分析いたします。分析に用いる情報としては、術前の採血情報、心臓の機能や呼吸状態などの診察所見があります。また、手術麻酔で用いる情報としては、心電図や血圧、酸素濃度、採血情報などがあります。これらの情報をもとに、個別の研究において解析を行います。

○研究の中止基準  当該研究により期待される利益よりも予測されるリスクが高いと判断される場合又は当該研究により十分な成果が得られた若しくは十分な成果が得られないと判断される場合は、研究が中止される場合があります。

 なお、研究計画書や研究の方法に関する資料を入手・閲覧して、研究内容を詳しくお知りになりたい場合は、末尾の連絡先にお問い合わせください。他の研究対象者の個人情報等の保護や研究 の独創性確保に支障がない範囲でご提供させていただきます。

【研究参加の任意性と撤回の自由】

 この研究にご参加いただくかどうかは、研究対象者の自由意思に委ねられています。  後ろ向きの研究(すでに手術麻酔を受けられた方を対象とする研究)であり、個別に研究参加のご説明は行わず、研究計画書については麻酔科のホームぺージ(https://www.ut-anes.org/)に掲載いたします。この研究は病院で定める包括同意にあたり、同意撤回のご連絡がなければ、研究参加に同意していただいたとして研究にご参加いただきます。

 なお、研究にご参加いただけない場合でも、将来にわたり診療上あなたの不利益につながることはありません。

 ご本人または未成年者や亡くなられた方、認知機能に障害のある方などの場合は代諾者としてご家族、法定代理人、遺族からの申し出があれば、可能な限り採取した試料や情報・データ等および調べた結果を廃棄します。 ただし、同意を撤回されたとき、すでに研究結果が論文等に公表されていた場合は、廃棄することができませんのでご了承ください。

【個人情報の保護】

 この研究に関わって取得される試料や情報・データ等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。取得した資料・情報等は、解析する前(データ入手直後)に氏名・住所・生年月日等の個人情報を削り、代わりに新しく研究用の符号をつけ、どなたのものか分からないようにします。どなたのものか分からないように加工した上で、研究責任者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコンで厳重に保管します。ただし、必要な場合には、当診療科において研究用の符号を元の氏名等に戻す操作を行い、結果をあなたにお知らせすることもできます。

【研究に関する情報の公開および研究により得られた結果等の取扱い】

 研究の実施に先立ち、厚生労働省が設置している公開データベース(jRCT)または国立大学附属病院長会議が設置している公開データベース(umin)に登録をし、研究終了後は成績を公表いたします。

jRCT のホームページ(URL): https://jrct.niph.go.jp/

UMINのホームページ(URL):https://www.umin.ac.jp/ctr/index-j.htm

 研究の成果は、あなたの氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌、国内および海外の学会等で公表します。

 国内外の学術雑誌での公開にあたっては、研究成果の第三者による検証や複数の研究の結果を統合して統計的に検討する際の原資料となることもあるために、解析・論文作成に用いた資料を学術雑誌社・学会(誌)へ提供・公開すること、また保管されることがあります。

 個人的なお問い合わせをいただいた場合でも、大規模データを用いた解析研究であるため、個別の研究結果についてはお伝えすることができません。下記のお問い合わせ先に連絡いただければ、全体の研究結果についてはお伝えいたします。

【研究対象者にもたらされる利益及び不利益】

 この研究が、あなたに直ちに有益な情報をもたらす可能性は高いとはいえません。しかし、この研究の成果は、今後の麻酔科学研究の発展に寄与することが期待されます。したがって、将来、あなたが今後受けられる手術麻酔の面で利益をもたらす可能性があると考えられます。

【研究終了後の試料・情報等の取扱い方針】

 取得した資料・情報等は、原則としてこの研究のためにのみ使用します。 研究期間終了5年後、取得した資料・情報等は、電子データで保存されており、データを削除することで廃棄します。

【あなたの費用負担】

 今回の研究に必要な費用について、あなたに負担を求めることはありませんが、通常の診療における自己負担分はご負担いただきます。

 なお、あなたへの謝金はございません。

【研究から生じる知的財産権の帰属】

 本研究の結果として知的財産権等が生じる可能性がありますが、その権利は国、研究機関、民間企業を含む共同研究機関及び研究従事者等に属し、研究対象者はこの知的財産権等を持ちません。また、その知的財産権等に基づき経済的利益が生じる可能性がありますが、これについての権利も持ちません。

【その他】

 この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。なお、この研究に関する費用は、東京大学大学院医学系研究科・医学部生体管理医学分野麻酔学研究室の運営費交付金から支出されています。 本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。

 この研究について、わからないことや聞きたいこと、何か心配なことがありましたら、お気軽に下記の連絡先までお問い合わせください。

 この研究説明書は研究期間中いつでも麻酔科ホームページで閲覧することができます。  

麻酔科ホームページ(URL): https://www.ut-anes.org/

【問い合わせ先】

研究責任者:内田 寛治 

連絡担当者:江坂 真理子

〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1

東京大学大学院医学系研究科・医学部 麻酔学

東京大学医学部附属病院 麻酔科・痛みセンター

Tel: 03-5800-8668(内線 36637)Fax: 03-5800-8938

 e-mail:todai.masuika@gmail.com URL:https://www.ut-anes.org/


現在実施されている個別研究テーマには以下のものがあります。

(1) 左室補助人工心臓がBISモニタに及ぼす影響の検討

(2) 麻酔中の人工呼吸におけるリーク量の検討

(3) 口腔外科手術における麻酔について、気道管理を対象とした後ろ向き検討

(4) 経食道心エコー図検査の最適化における周術期管理の後ろ向き研究

(5) 硬膜外麻酔・脊椎麻酔および末梢神経ブロックの最適化における周術期管理の後ろ向き研究

(6) 抗腫瘍薬の周術期の心血管系への影響の検討

(7) ロボット補助下腹腔鏡手術麻酔における術後シバリングと術中体温に関する研究

(8) 麻酔薬と循環動態の関係の検討

(9) 小児挿管チューブの使用状況についての検討

(10) 術中動脈圧と波形および低血圧の検討

(11) 術中圧波形と心エコー所見の関係性の検討

(12) 麻酔薬の投与量と脳波の関係の検討

(13) 短時間作用型β1 選択的遮断薬の抵抗性に関する因子の分析

(14) 開腹肝臓切除手術における周術期血小板減少の推移について

(15) 左室補助人工心臓がBISモニタに及ぼす影響の検討(2)

(16) 手術麻酔管理中の出血量が周術期に及ぼす影響について

(17) 脳波ウェーブレット変換およびヒルベルト・ファン変換の脳虚血検出能力の検討

(18) 臓器移植手術の増加に伴う麻酔科のマンパワー及び手術室状況の変化の検討